誰でもパソコンで新型コロナウイルスの調査・解析に協力できる!Folding@home の始め方

Folding@home とは

分散コンピューティングプロジェクトの 1 つで、さまざまな病気に見られるタンパク質の分子動力学と呼ばれるものをシミュレーションしています。分子動力学なんて聞くと僕も何のことかさっぱりわかりません。

だから以下のように考えています。

現代社会において、治療法が確立していないさまざまな病気が存在します。治療法を確立するためにはその病気がどのように発生・進行するのか等が解明される必要があります。その解明のためには複雑な計算 (コンピュータによるシミュレーション) が必要です。

この複雑な計算には、莫大なコンピュータ能力が必要です。スーパーコンピュータと呼ばれる規模のもので、個人が購入できるハイスペックなパソコン程度では全くもって歯が立ちませんし、そもそも個人で購入できる金額のものでもありません。

京 (けい) というスーパーコンピュータの名前を聞いたことはあるでしょうか。京を稼働させるためには、電気代だけで 1 日 600 万円強も必要と言われています。1 年ではありません。1 日で、600 万円強の電気代です。

しかし、個人が使用するパソコンであっても「数が集まれば強く」なります。これをやっているプロジェクトが Folding@home です。

具体的な方法としては、個人用パソコンにソフトウェア (アプリ) をインストールしてアプリを立ち上げます。そこからインターネット越しにたくさんのコンピュータパワーが束ねられて莫大な計算能力になります。これを分散コンピューティングとかグリッドコンピューティングと呼んでいます。

Folding@home の実績 (その 1)

新型コロナの研究に自分のパソコンを使って協力・貢献できることは素晴らしいとわかった。でもこの Folding@home がどれくらいの実績を持っているのか知りたくないでしょうか?

Folding@home のディレクターである Greg Bowman のツイッター情報によると、3 月 31 日の時点で、

  • 356,000 個以上の NVIDIA 製の GPU (コンピュータのパーツの名前。ざっくり言うとパソコンに搭載されている CPU の兄弟みたいなもの)
  • 79,000 個以上の AMD 製 GPU
  • 593,000 個以上の CPU

が稼働しているとのことです。つまり、優に 100 万個を超えるデバイス (厳密には違いますが、ここでは話を簡単にするためにコンピュータとしましょう) が Folding@home のプロジェクトに参加し、各種医学的な研究・調査にコンピューティングリソース (コンピュータの能力) を提供しています。

Folding@home の実績 (その 2)

Folding@home の公式ツイッター情報によると、Folding@home に集ったコンピュータの処理能力が 1 エクサフロップスを超えたことが発表されています。1 エクサフロップスが何やねん?という感じですが、IBM のサミットと呼ばれるスーパーコンピュータの処理能力を 10 倍上回っている数値です。

これだけの処理能力が集まれば、しかもこれからもっと多くのパソコンが Folding@home に参加したとすれば、きっと何か、ひょっとしたら新型コロナのワクチン発見にすらつながるかもしれません。そんな期待をいただかせるのが Folding@home だと僕は考え、自分のパソコンを使ってやってみよう!と思ったわけです。

世界中で解決策が求められている重大な事態になんの資格もない自分も参加ができる!これはとても有意義なことであります。

今は学校は全国的に休校が多く (ほとんどかな)、企業もリモートワークを推進しているところが多いと思います。そこで学校や会社に置きっぱなしになっているパソコンで Folding@home を稼働させておけば大きな力になると思うんですが、こういう粋な対応ができる組織はないかな。

Folding@home の注意事項

Folding@home はさまざまな医学的なシミュレーションを行っています。そのため、アプリを自分のパソコンにインストールして稼働させたとしても、あなたのパソコンが新型コロナ (COVID-19) の研究に充てられるかどうかは確約されませんし、自ら希望して COVID-19 を選ぶこともできません。しかし、なるべく新型コロナの研究に充てられるように設定することは可能です。

以下、本記事でその方法をご紹介します。

アプリをインストールする方法

対応しているパソコンの OS は下記画像にあるように Linux, Windows, Mac です。今回は Mac にアプリをインストールします。まずはダウンロードすることからです。

↑にある START FOLDING をクリックします。

fah-installer_7.5.1_x86_64.mpkg.zip をクリックします。fah-installer_7.5.1_x86_64.mpkg.zip はインストーラ (アプリをインストールするためのソフトウェア) のファイル名です。

このファイル名はバージョンが上がると変わると思うので、ダウンロードしていただくタイミングによっては少し違うものになっているかもしれません。

インストーラがダウンロードできたら Open をクリックして開きます。その後インストーラのファイル (僕の場合は fah-installer-7.5.1_x86_64.pkg でした) をダブルクリックすると、以下のインストール画面が表示されます。

Continue をクリックします。

Continue をクリックします。

Agree をクリックします。

Install をクリックします。パスワードを求められたら Mac に設定しているパスワードを入力してください。そうするとインストールが始まります。

↑インストールが無事に終わりました。Close をクリックします。

↑ この画面が出てきたら Move to Trash をクリックします。

以上でアプリのインストールは終了です。

アプリの設定手順

インストール終了とともに、以下の画面が自動的に表示されると思いますので、Start Folding をクリックします。これにより、しばらくすると (数分くらいかな) パソコンにタスクが割り当てられるて演算を始めていきます。

↓ ブラウザーには以下の画面 = WEB CONTROL がブラウザーに表示されていると思います。

↑ 真ん中上の方にある I support research fighting のところは Any disease を選択してください。Any disease を選択することにより、あなたのパソコンが COVID-19 の研究に割り当てられやすくなります。

ノートパソコンをご使用の場合、バッテリー駆動のときはアプリが動かない仕様になっているようです。上記画像で Paused on battery と表示されていることからもそれがわかります。

僕は MacBook を使っているので AC アダプターでコンセントに繋ぐと、以下のようになりました。

Paused on battery と表示されていたのが Ready Ready. に変わっています。ついでに Power のところを Light から Medium に変更してみました。これにより僕のパソコンは Light 設定よりも多くコンピュータリソースを Folding@home に割くようになったわけです。

さらにそのまま数分放置しておくと、

Running All systems go. という表示となり、自動的にアプリが稼働しはじめ 0 だけだった数値が変化し始めました。

これはインターネット経由で何らかのタスクの 1 部が僕のパソコンに割り当てられて、僕のパソコンが計算 (演算) を始めたからです。

Folding@home の処理を止める方法

Stop Folding をクリックします。そうすると以下が表示されます。

Stop now をクリックするとパソコンが処理を停止します。

「処理」とは、あなたのパソコンを Folding@home のボランティアパソコンとして使用し、割り当てられたタスク (COVID-19 等の解析のための演算) を実行させることです。

↓ WEB CONTROL の画面は以下のようになり、再度パソコンに処理を始めさせたいときは Start Folding をクリックします。

上記の画像は、処理を始めてから数分くらい経ったときのものですが、MacBook はすこし暖かくなりはじめていました。お使いのパソコンによっては内蔵ファンが勢いよく回転しているかもしれません。これはパソコンの内部が熱くなりすぎないようにファンが風を送って冷ましているからです。

Medium 設定でも Light 設定でも Mac が頑張って計算してるんだなーというのがわかりました。Full 設定にするともっと頑張ると思いますが、他の用途でも使っているので Medium 設定のまま動かすか Light 設定に変えようと思います。

普段は必要がない限りパソコンをシャットダウンや再起動させないので、寝る前には Full 設定にしてもいいかなと思っています。

WEBCONTROL の問題点?

しばらくすると WEBCONTROL の画面がおかしくなっていました。表示される数字が 0 になって処理が止まっているように見えました (実際には処理は止まっておらず WEBCONTROL の表示がおかしくなっていただけでした) し、数秒に 1 回のペースで WEBCONTROL の画面がリフレッシュする動作を延々と繰り返していました。WEBCONTROL は不安定なのかもしれません。

ブラウザーに表示して使用する WEBCONTROL ではなく、Advanced Control (アプリです。以下でご紹介するように FAHControl と表示されています) を使って各種操作をしたほうが良さそうです。

僕はこれ以来 WEBCONTROL はやめて FAHControl を使うようになりました。

FAHControl (Advanced Control) の使い方

Mac での使い方をご紹介します。

↑ アプリの中から FAHControl をクリックします。そうするとアプリ = FAHControl が起動してきます。

↑ この FAHControl の画面は、すでに僕の MacBook で処理が動いているときのものです。Status のところに Running と表示されていることや Progress のところがゼロでないことからもそれがわかると思います。

FAHControl は、直感的に操作方法がわかるのではないでしょうか。

  • 処理を始めるには Fold をクリックする
  • 処理を一時停止するには Pause をクリックする

で大丈夫と思います。( Finish ボタンはクリックしないようにしてください )

FAHControl の設定

ここだけは確認してほしい設定のご紹介です。FAHControl の左上にある Configure をクリックしてください。

そうすると以下の画面が表示されますので、Advanced タブをクリックしてください。

一番上の Cause Preference のところを Any にしてください。これであなたのパソコンが新型コロナウイルスの研究・調査が優先的に割り当てられます。

unsplash-logoNikola Jovanovic

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